著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

スパイの告白に「今は僕の方が勝ったことになるなあ」と答えた吉田茂

公開日: 更新日:
東京・荻窪の自宅「荻外荘(てきがいそう)」で服毒自殺し、横たわる近衛文麿=1945年12月16日(C)共同通信社

 吉田茂の別邸に書生として入り込んだ陸軍省兵務局防諜課のスパイ、東の手記を基に戦後の関係にも触れておくことにしたい。日本の敗戦とともに、スパイとして隠微な役割を演じた課員は、それぞれの生活に戻っていた。情報工作員という立場のため、自身で職を探し、自らの生きる道を確立していかなけれ…

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