防衛費増額の根拠「台湾有事」は雲散霧消している
日本の防衛費増額は、根拠を失ったのである。
だが、岸田政権は増額を続けようとしている。失われた目的のために総額43兆円、うち来年度分8.5兆円の支出を許そうとしている。
内容にも疑問が残る。台湾有事対策としても首をかしげる施策は多い。
肝いりの敵国攻撃能力には中国抑止の効果はない。まず、中国が恐れるほどの威力は期待できない。いざ台湾独立の事態となれば中国は一切の躊躇を排して攻略を始めるだろう。その時に日米が巡航ミサイル攻撃をしても無視するのではないか。戦う相手を増やすより台湾攻略を最優先するはずだ。
それでいて日中関係を無駄に悪化させる内容も含んでいる。
地上発射型の先島配置は愚策でしかない。自民党政権は中国に近い石垣島への巡航ミサイル配備を狙っている。これは中国への悪意の表明にしかならない。仮想敵国を無駄に刺激するだけである。巡航ミサイルは平時に配備するものではない。
防衛力強化により安全保障を悪化させる矛盾である。岸田政権は防衛費増額を成果に残したいのだろう。ただ、内容は頓珍漢でしかない。 (つづく)