著者のコラム一覧
文谷数重元3等海佐・軍事研究家

1973年、埼玉県生まれ。早大大学院修了。元3等海佐・軍事研究家

防衛費増額の根拠「台湾有事」は雲散霧消している

公開日: 更新日:

 日本の防衛費増額は、根拠を失ったのである。

 だが、岸田政権は増額を続けようとしている。失われた目的のために総額43兆円、うち来年度分8.5兆円の支出を許そうとしている。

 内容にも疑問が残る。台湾有事対策としても首をかしげる施策は多い。

 肝いりの敵国攻撃能力には中国抑止の効果はない。まず、中国が恐れるほどの威力は期待できない。いざ台湾独立の事態となれば中国は一切の躊躇を排して攻略を始めるだろう。その時に日米が巡航ミサイル攻撃をしても無視するのではないか。戦う相手を増やすより台湾攻略を最優先するはずだ。

 それでいて日中関係を無駄に悪化させる内容も含んでいる。

 地上発射型の先島配置は愚策でしかない。自民党政権は中国に近い石垣島への巡航ミサイル配備を狙っている。これは中国への悪意の表明にしかならない。仮想敵国を無駄に刺激するだけである。巡航ミサイルは平時に配備するものではない。

 防衛力強化により安全保障を悪化させる矛盾である。岸田政権は防衛費増額を成果に残したいのだろう。ただ、内容は頓珍漢でしかない。 (つづく)

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    参院選の候補者が正式に決まらない…国民民主党「玉木執行部vs参院女子」の熱き内部ドタバタ対立

  2. 2

    国民民主党が参院選東京選挙区で“台風の目”に…元NHKアナ牛田茉友氏のみならず2人目擁立の狙い

  3. 3

    参院選に向け永田町で出回る“怪情報”…自民情勢調査で「単独過半数維持」って甘すぎやしないか?

  4. 4

    消費税「食品ゼロ1年間」を参院選公約に…寄り切られた立憲野田代表の油断ならないバーター懸念

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「連立入り」「首相就任」報道に文句連発も…ホンネは自公政権救済へ“色気ありあり”

  1. 6

    立憲の消費税0%案「原則1年・食品限定」にこれだけの弊害…国民玉木代表は独自試算で批判連発

  2. 7

    石破内閣15大臣「GW外遊」に血税9億円超! 物価高で野党が異例の「反対」も前例踏襲でイケイケの無神経

  3. 8

    シリーズ「昭和の亡霊・7つの戦時用語」(79)天皇免責の証言よりも重かった東條英機の「プライド」とは

  4. 9

    国民を舐めているのか、この政府は…ガソリンは10円値下げ、狂乱高騰のコメは野放し

  5. 10

    党首討論ねっとり30分…与野党2トップ自民石破&立憲野田が「見つめ合う」気味悪さ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  4. 4

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  5. 5

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    ダウンタウン「サブスク配信」の打算と勝算……地上波テレビ“締め出し”からの逆転はあるか?

  3. 8

    1泊3000円! 新潟県燕市のゲーセン付き格安ホテル「公楽園」に息づく“昭和の遊び心”

  4. 9

    永野芽郁と橋本環奈…"元清純派"の2人でダメージが大きいのはどっち? 二股不倫とパワハラ&キス

  5. 10

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ