「便利屋」から脱却したソフトバンク岩崎翔の“才能”
「1発目のチャンスをきっちりモノにしたいという思いで1カ月以上、二軍でやってきた。いいピッチングができてよかったです」
15日のロッテ戦後のヒーローインタビュー。市立船橋高卒の右腕は地元での今季初勝利に笑みを浮かべた。
今季初登板、初先発でも序盤から冷静だった。初回に犠飛で1失点したものの、その後は140キロ台の直球とカーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークと多彩な変化球を織り交ぜながら要所を締める。完投こそ逃したが、8回7安打1失点で切り抜けた。
■秋山監督が重用
プロ7年目。同期はこの日投げ合ったロッテ・唐川や日本ハム・中田ら。ライバルに後れを取ったが、これには自身の非凡な才能とチーム事情があった。
3年前の11年にプロ初勝利を含む6勝(2敗)を挙げるなどプチブレーク。将来のエースと期待された。翌12年はその勢いのまま先発の一角として期待されながら、2ケタ敗戦(5勝10敗)で中継ぎに。その後、好救援を何度も見せたことで、チーム首脳陣からセットアッパーに見込まれてしまう。以後は谷間の先発と中継ぎを兼務。力があればこその便利屋だが、「先発の柱に」という当初のレールから外れかけた。この日も右肩違和感で登録抹消になったエース・摂津の代役として一軍に合流、先発マウンドに上がった。こうした使われ方が先発としての開花を遅らせていた。