デモ報道、多様な気候…ブラジルという国の“誤解”を解く
そして、もう一つ、気候の多様性もこの大会の特徴だ。
ブラジルといえば、多くの人はリオデジャネイロのコパカバーナ海岸、あるいはアマゾンを思い浮かべる。しかし、ブラジルは広く、サンパウロ州だけで日本とほぼ同じ面積がある。各地方をブラジルという一つの国でくくるのは無理がある。
例えば、日本が初戦を戦ったレシフェのスタジアムの気温は夜中にもかかわらず高温多湿で、選手の運動量は落ち、低調な試合となった。
一方、オランダ─オーストラリア戦が行われたポルトアレグレの気温は14度にとどまった。そのため、選手たちはピッチを走り回ることができ、激しい試合となったのだ。
元日本代表監督のジーコは「サッカーは細部で決まる」としばしば口にしたものだ。気温、湿度を感じて、運動量を増やすのか、セーブするのか──。
この大会を勝ち抜いていけるのは、細部にまで気を配れるチームだ。日本代表の選手にはギリシャ戦で「細部」の調節を期待したい。
文・田崎健太(ノンフィクション作家)