とかく神経に障る ブラジルが毛嫌うアルゼンチンのプレー
また、アルゼンチンには過去、マリオ・ケンペス、バティストゥータ、今回はイグアインといった力強いセンターフォワードを置くことが多いが、ブラジルのセンターフォワードは足元がうまく、柔らかい――。双方その戦い方に自信を持っているので、とかく神経に障るのだ。
アルゼンチン代表は今大会、それほど期待されたチームではなかった。しかし、組み合わせに恵まれた。1次リーグを3戦全勝、メッシを中心としてチームがまとまりつつある。
故・ソクラテスは82年W杯で、ジーコ、ファルカン、ソクラテス、セレーゾの「黄金の中盤」がいたブラジル代表が敗れた理由として、4人の関係が対等であったことを挙げていた。彼の頭には86年W杯でマラドーナを生かすために他の選手が動き、優勝を成し遂げたアルゼンチン代表があった。
そして今大会はメッシがマラドーナのように突出しており、ディマリア、イグアインがサポートして攻撃の「才能」はそろっている。
もっともブラジルの観客はアルゼンチン代表に対して徹底的に罵声を浴びせることだろう。アルゼンチン人はそうした状況にも慣れている。もしブラジル、アルゼンチンが共に勝ち抜いていけば、決勝で対戦することになる。
文・田崎健太(ノンフィクション作家)