大阪桐蔭を蹴散らした 「大阪偕星学園」の掛け値なしの実力
「“ワル”が一つにまとまって甲子園出場。面白い存在になるかもしれないね」
さる関西担当スカウトがこうつぶやいた。
全国で最後となった大阪予選の決勝は、大阪偕星学園が浪商を下して初の甲子園切符を掴んだ。
13年4月に此花学院から校名変更し、経営母体も変わった。甲子園期間中は出場校に練習場を提供していた学校が、準々決勝で優勝候補の大阪桐蔭を撃破して、主役に躍り出た。前出のスカウトが言う。
「韓国プロ野球経験者の山本晳監督は倉敷高監督時代の10年、不祥事に関わったとして監督をクビになり、大阪偕星に流れ着いたのは、投手育成に定評があるから。部員には、天理をやめて編入してきた右腕の姫野(3年)をはじめ、中学時代は広く名前が知れ渡る一方、素行が悪くて強豪校が次々と手を引いた者が少なくない。山本監督はそういう“ワル”を猛練習で鍛え上げた。『大阪桐蔭よりも練習した』と豪語し、実際に夜中まで練習していたからね」
前出の姫野に加え、決勝戦で好投した左腕の光田の2枚看板は、全国大会でも通用する実力があるといわれている。
まるで野球マンガになりそうな大阪偕星学園。昨今の高校生は「ゆとり」世代でハングリー精神が薄れつつある。ギラギラしたエネルギーが充満した集団だけに、甲子園では台風の目になるか。