トライ数世界記録の大畑大介さんが語る松尾雄治さんの“粋”
その後、いつだったか、「憧れの存在だった」と伝えましたよ。ラグビー界で憧れの人って最初で最後ですから。
■偶然一緒になった店で「ご祝儀だよ」と封筒を
雄治さんはものすごい実績を残した方なのに、すごいフランク。酒を強要したりもしない。ラグビーの真剣な話もしたことないと思います。仲のいい上司と部下みたいに、「この店の料理、うまいですねぇ」「え、これでうまいと思ってんの。今度、オレがもっとうまいもん食わしてやる」とか、そんなたわいない話ばっかり。
02年に結婚した時はご祝儀をいただきました。結婚してフランスのクラブチームに行く前で、東京である人とご飯を食べていたんです。そうしたら偶然、お店で一緒になって。雄治さん、スッと近づいてきて「祝儀だよ」ってテーブルにポンと封筒を置いた。後で見たら、ビックリの金額が入っていました。その時の飲み代ももちろん出してくれました。ボクなんて同じチームでも学校の後輩でもないのに。粋な方やなあと思いました。
実際、雄治さんの背中を追いかけてきた部分はありますね。過去の栄光にしがみつかずに、いつも自分自身を磨き続けている。ラグビーという枠を飛び出して、ひとりでも、“松尾雄治”という固有名詞でしっかりと勝負していけてる。ラグビー界出身で、そういうことをいち早くやっているところがカッコイイ。