手代の「福吉」一人に罪かぶせてほっかむりかい、読売屋?
「いいかいおまえたち、バクチだけは手を出すんじゃないとお上からきついお達しが出てる以上、やっちゃあならないよ。わかったね? きつく言っておくからね」
「へえ」とうなずく手代の「福吉」へ番頭、
「じゃ今夜麻雀でも囲むから奥へおいで」
「覚えたばかりで、ちょいと懐具合が寂しくて今夜はご勘弁を」
「じゃ明日、ゴルフ付き合うんだよ」
「ゴルフも私ぁまだ駆け出しですんでコースなんざとても、番頭さん、ごかんべんを」
番頭、鼻で笑って、
「甘ったれんじゃないよ。おまえはもう子供じゃないんだからね。ニギってるのはみんな同じだよ」
で、この「福吉」ってのは、大店の手代というよりは実はトカゲの尻尾だったんだト。