<1>「権力の継続こそが腐敗の根源だ」
汚職スキャンダルまみれのFIFA(国際サッカー連盟)。2月末に光文社からFIFA腐敗の根本に踏み込んだ「FIFAと電通(仮)」を上梓するノンフィクション作家・田崎健太氏が、旧知の間柄であるジーコを通してFIFAの、サッカー界に巣食う「闇」について語っていく。
<全員悪人>
数年前に公開された映画のキャッチコピーだ。これほどFIFAにピッタリの言葉はない。
昨年5月末、FBIによるFIFAの摘発が始まった。汚職事件でFIFA副会長、理事らが逮捕・起訴され、そしてブラッター会長、実力者のプラティニ副会長(欧州サッカー連盟会長)までが、FIFAから放逐される可能性が出てきた。
そんな中、ジーコがFIFA会長選挙に出馬表明したことは、ボクにとって大きな驚きだった。
ジーコとの付き合いは95年に始まった。監督としてのジーコは並外れた負けず嫌いだが、ピッチを離れると“いかにも末っ子的”性格が顔をのぞかせる。控えめで争いごとを好まないタイプだ。