琴奨菊の全勝止めブーイング 豊ノ島は白鵬と“ただならぬ仲”
「あー、クソ! ……ウワー!」
支度部屋の風呂場で、大関琴奨菊(31)は何度も絶叫した。
モンゴル人3横綱を退けて臨んだ13日目。日本出身力士として10年ぶりの優勝を目指しながら、しかし、同じ日本人の平幕豊ノ島(32)にとったりで不覚をとった。
「どう戦ったかはあまり覚えてない」という豊ノ島に立ち合いで得意の左差しを防がれると、強引に前に出たところを左に変わられ、そのまま土俵に転がされた。
初日からの連勝を12で止められ、豊ノ島の勝ち名乗りを複雑な思いで見詰めた琴奨菊。鶴竜に勝った横綱白鵬に1敗で並ばれ、館内のざわめき、ため息は結び後も収まらなかった。
空気を読まない、言ってしまえば「KY」の豊ノ島にはブーイングも飛んだが、こちらは万々歳だ。同級生の琴奨菊とは中学時代から付き合いのある、20年来の親友。それでも情に負けず、真正面から撃破。図らずとも、言われていた通りの「ガチンコ力士」であることを証明した。