マエケン抜けた広島も首位争い 「エース売却」何が効用か
「絶対的エースが抜けたことで、それまでパッとしなかった若手が目の色を変えた。その年の開幕投手を任された斎藤佑や当時3年目の中村勝がそうだし、吉川もそのうちのひとりでした。首脳陣も若手の底上げを図るために苦心惨憺だった。吉川はそれまで四球を連発しては交代させられるんじゃないかとベンチをチラチラ見るような投手でしたが今年は必ず辛抱して使うとハッパをかけてその気になったのです。一方でリードしているときは相手打線につかまりそうな中盤にスパッと代えることで、勝ち星と自信を植え付けていった」
日本ハムはそもそもチームを活性化させるためにベテランの放出をいとわないチーム。トレードも補強より、芽が出そうな若手に出場機会を与える目的でベテランを放出するケースが多い。長期間にわたったチームづくりをしていればこそ結果も出たとはいえ、ダルのメジャー移籍にはこんな“副産物”もあったという。
「ダルはチーム内で飛び抜けた存在だった。だからある程度、単独行動も認められていた。けれども、それが結果としてチーム内の和を乱すこともあった。ダルがいなくなったがゆえに、内部の連帯感が強くなった部分はあるかもしれません」とは前出のOBだ。