大会連覇で日本に敵なしも…イ・ボミを待つ「世界の壁」
ゴルフジャーナリストの菅野徳雄氏が「イ・ボミのプレースタイルが日本仕様になっているからです」と、こう続ける。
「ゴルフはコースと戦うスポーツです。ところが日本のゴルフ場は商売優先で、プロの試合開催のためにつくられておらず、ビジター客がスムーズにプレーできるように設計されている。大会設定も通常営業もあるのでフェアウエーは広くラフは浅く、グリーンはアンジュレーションがない。ラフからでも簡単にグリーンを捉えることができ、長いパットもポンポン入る。どんなボールでもグリーンに落ちれば止まるし、止める技術がなくても好スコアが出る。簡単に20アンダーが出るようなところでプレーしていたら、世界で一番タフといわれる全米オープンでは面食らって太刀打ちできませんよ」
日本ツアーの平均距離6510ヤード(昨年)に対し、今年の全米女子オープン会場は6784ヤードと長い。
「距離だけでなく、深いラフ、高速グリーンが待ち構えている。ピン位置によって毎日、攻め方が変わり、即座に対応しなければならない。技術だけでなく、知識や情報や強い精神力が必要になります。日本で強くて、賞金を稼いでいるといっても、周りのレベルが低いから。トッププロが出場する本場メジャーでは同じようにはいきませんよ」(前出の菅野氏)
日本選手同様にやさしいコース設定に慣れてしまったら、世界の壁にはね返されてしまう。