首位広島に総力戦も 中日「勝利への執念」に周囲冷ややか
「なんだか優勝決定戦みたいですね」
テレビ解説の権藤博氏はそう言っていた。26日の広島戦。最下位に沈む中日が、確かにこの日は目の色が違った。
先発の八木が6回1失点で降板すると、1-1の同点で迎えたその裏に2死一、三塁から荒木が三塁線へセーフティースクイズを敢行。必死の形相で駆け出した38歳のベテランが一塁へ頭から飛び込み、ユニホームを泥だらけにして勝ち越しの1点をもぎ取った。
その1点を守ろうと、七回からは小刻みな継投策に出る。2番手の又吉が1死一、二塁とピンチを招くや、3番手の岡田を投入。その岡田が八回に1死一、二塁としたところで、すかさず森監督代行がベンチを飛び出して、祖父江にスイッチ。同点とされて迎えた九回には、守護神の田島をマウンドに上げるなど、地元記者も「おいおい、きょうはやたらと必死だな」と驚く勝利への執念を見せたのだ。
結局、田島が1死満塁から菊池に決勝の左前適時打を浴びて逆転負け。奮闘むなしく敗れたチームに、ネット裏ではこんな声が飛び交っていた。
「白井オーナーがこっそり観戦でもしていたんじゃないか」
ベンチの執念が額面通りに受け取られない。谷繁監督休養という不可解人事によって充満するチームの陰鬱とした雰囲気は、それだけ深刻ということだ。