準備、確率、思い切りが大事だと知った“奇跡の初本塁打”
昨年限りで引退した加藤健氏は、巨人での18年間で規定打席に到達したシーズンは1度もなかった。球界を代表する捕手・阿部慎之助の陰で控え捕手として縁の下で支え、「困った時のカトケン」と重宝された。
――今の巨人は9人も捕手が在籍。控えの心得は?
「2番手、3番手捕手って絶対ケガしちゃいけない。いくらでも代わりはいるんです。ボクもサネ(実松)も、ケガしてもやりながら治しました。ボクはあばら骨にヒビが入っていたけど試合に出続けたことがありました」
――35試合に出場した2015年?
「はい。クロスプレーでDeNAの嶺井とぶつかって。翌日は大竹とバッテリーを組んでスタメン。痛かったですけど、ケガがバレないように打撃練習は全部バントや右打ちでごまかしました。痛み止めのボルタレンを上から飲んで、下からも入れて……。それで試合に出たらボクが打って勝ったんです」
――当時の原監督は気付いていた?
「10月の上旬でしたが、ボクからは『できる』と言いました。これくらいの痛み、ヒビが入ったくらいならできるんだと引き出しが増えました。監督も分かっていたと思います。でも言ってこないんだから大丈夫だろうと、気付かないふりをしてくれたんじゃないですか」