ネイマールのPKも覆る…ブラジルにVARというもう一つの敵
ゲームが終わった直後、両手で顔を覆って涙したネイマールの姿が苦しい戦いを象徴していた。
初戦のスイス戦を引き分けたブラジル。攻勢をかけたが、コスタリカの堅い守りをこじ開けることができない。ゲームが動いたのは、後半アディショナルタイムが6分と表示された、その1分後だった。まずはMFコウチーニョ(26=バルセロナ)がGKの股下を抜くシュートで先制点。6分後にはFWドウグラスコスタ(27=ユベントス)の折り返しをFWネイマール(26=パリ・サンジェルマン)が左足で合わせて今大会初ゴールを決めた。
2試合連続の引き分けが濃厚だったブラジルが、最後の最後でらしさを見せた。南米のサッカー事情に詳しい田崎健太氏(ノンフィクション作家)は、ブラジル苦戦の理由についてこう語る。
「5バックのコスタリカはGKのナバス(31=Rマドリード)とDF陣のコンビネーションが抜群だった。DF陣はGKを信頼し、シュートコースを“あえて”開けてブラジル選手に打たせていた。だからシュートのほとんどはGKの正面だった。ブラジルは苦しい展開が続き、多くの選手がファウル欲しさにピッチに倒れ込んだ。これはブラジルの選手がよく使う手ですが、主審はほとんど認めなかった。後半32分のネイマールもそうです。ゴール前で切り返した際に倒されてPKを得たものの、VAR(ビデオ判定)で覆った。ファウルをもらいに行かなければならないほど、追いつめられていたということです」