ナイジェリアがアイスランド撃破 個の力に組織力も加わる
アフリカの強豪が崖っぷちで踏みとどまった。
負ければ1次リーグ敗退が決まるナイジェリアは、相手の鉄壁な守備にてこずり、1本のシュートも打てずに前半を折り返し。後半は積極的な攻めに転じ、開始4分、FWムサ(25=CSKAモスクワ)が、カウンターからのクロスを右足アウトサイドで落とすと、体勢を立て直し、強烈なボレーで叩き込む先制ゴール。30分にも再び、ムサがロングボールを拾い、ペナルティーエリア内でGKを振り切ってゴールネットを揺らし、初出場に沸くアイスランド国民35万人を奈落の底に突き落とした。
190センチ近い長身選手が揃う相手に、アフリカ人特有の身体能力の高さで対抗。ゴール前で空中戦を仕掛けられても、DF陣がバネを生かして頭で阻止するなど、アイスランドFWに仕事をさせなかった。組織力でもチームプレーを武器とする相手を随所に圧倒。人数をかけた中盤でのパス回しで相手守備を崩し、チャンスをつくり出すシーンが目立った。
これまでナイジェリアは各ポジションにタレントを擁しながらも実力を発揮し切れなかった。チームの統率を乱すケースが多く、W杯では1994年、98年、2014年のベスト16が最高だ。16年8月からチームを率いるロー監督(64)は、ピッチ内外で代表チームの意識改革を図った。ドイツ人指揮官は練習への遅刻を許さず、代表活動中には集団行動を徹底させるなどして、個人プレーに走りがちな選手たちに規律と組織力の重要性を身に付けさせた。個々の能力に頼った自由奔放さから脱却し、組織立ったチームへの転換に成功した。
これまでと異なるスタイルが定着したナイジェリアは大会前の下馬評でアフリカ勢最高となる8強入りが有力視された。
チームワークが備わったナイジェリアは旋風を巻き起こすか。