ブラジルの敗因は“セレソンの個性”が消えたからだ
ジェズスは2015年3月にブラジルのパルメイラスでデビュー、17年12月にイングランドのマンチェスターCに移籍している。19歳のときである。また、今回のセレソンの攻撃的な選手、コウチーニョはデビューから19試合で、イタリアのインテル・ミランに青田買いされた。
サントスで南米一などのタイトルを獲得し、実績を残した上でバルセロナに移籍したネイマールはともかく、ほとんどの選手は10代の早い段階で欧州の名門クラブに移籍している。生まれはブラジルであっても「欧州」育ちなのだ。世界がセレソンを恐れたのは、華麗な技術に加えて、ディフェンダーの裏をかくような予測できないプレーがあったからだ。
ベルギーは日本戦で見せたように、守備が堅く、素早いカウンター攻撃のチームだった。フィジカルと規律があるベルギーの守備を破るのは「個」の創造性である。
ところが、今回のセレソンはネイマールを封じられると、身動きが取れなくなった。点取り屋がおらず、イマジネーションのない“欧州育ち”の選手ばかりのブラジルが勝ち上がれなかったのは必然だった。