金足農の準優勝が秋田の高校スポーツに風穴をあけてくれた
テレビにかじりつくようにしてサッカー以外のスポーツに見入ったのは初めての経験だった。
故郷・秋田県の代表として夏の甲子園を勝ち上がった金足農は、地元出身者ばかりの地方の公立農業高という“ハンディ”を抱えながら大舞台で物おじせず、持てる力を十二分に出し切った姿に感銘を受けた。しかし――。
サッカーの秋田商、ラグビーの秋田工、バスケットの能代工。いずれも全国大会で輝かしい実績を残してきたが、秋田工ラグビー部は1987年の優勝を最後に低迷を続け、能代工バスケット部が最後に優勝したのは2004年である。
我が母校の秋田商は、2017年の暮れに開幕したサッカー高校選手権に「3年連続・43回目」の出場を果たしたが、初戦で敗れ去った。県勢は、高校選手権で「13大会連続初戦敗退(5大会連続無得点負け)」という不名誉な記録を更新中である(内訳は秋田商9回、西目3回、新屋1回)。
秋田県の高校スポーツは、こうした数字をたどるまでもなく、明らかに衰退の一途をたどっていた。その閉塞状況を快進撃を続けた金足農が打ち破ってくれたと言いたいところだが、今回の快挙は、あくまで剛腕エースの吉田輝星という存在があったればこそ、だ。