新大関・貴景勝 “マジメ一筋”がゆえに囁かれる懸念材料
3月場所で大関昇進を決めた貴景勝(22)といえば、マジメな性格で知られている。稽古にストイックなのは当然、「相撲は神事であり国技。感情を出さないのが粋」と、笑顔を見せることも少ない。まさに日本人好みの「古き良きお相撲さん」タイプだ。
大関伝達式では「武士道精神を重んじ、相撲道に精進します」と口上を述べた貴景勝。しかし、その「大関」という地位がくせものだ。「受けて立つ横綱相撲」を求められる最高位ほどではないにせよ、相撲内容も要求される。貴景勝の性格上、全く気にしないということはないだろう。
元大関琴欧洲、現鳴戸親方はかつて日刊ゲンダイの連載でこう話していた。
「相手が格下だと、思うように相撲が取れなかった。頭の中では『相手が誰々ならあの手もある、この手もあるぞ』と考えていたんですが、そこは大関ですからね。大関のつらさは、なってみて初めて分かった」
貴景勝はひたすら前に出る押し相撲一本の力士。器用だった琴欧洲ほど悩むことはないだろうが、それでも「下からの挑戦を受けて立つ大関という立場」にこだわりすぎれば、立ち合いの踏み込みが甘くなりかねない。貴景勝の相撲は攻めてこそ。受けに回るともろいことは、ここ数場所で証明されている。
地位に足を引っ張られることにならなければいいが……。