ヤクルト1位・奥川恭伸に“64年ぶり”高卒新人開幕投手の目
戦力の底上げも滞っている。今季、ファームのチーム防御率4・12、604失点、114被本塁打はいずれもイースタンでワースト2位。さるチーム関係者がこう嘆く。
「正直、ファームにも有力な先発候補がいない。チーム内では『(今季限りで引退した)館山が一番計算できる』なんて声もありました。奥川は神宮のマウンドも経験済み。まだ18歳だから高津監督は『(育成)プランをしっかりクリアしてもらって』と慎重な姿勢も示しているが、奥川には話題性もありますからね。キャンプやオープン戦で『これならいける』というめどが立てば、開幕投手に抜擢されても驚きません」
ヤクルトは来季、本拠地の神宮球場で開幕戦を迎える。相手は阪神で、今季9勝14敗2分けとセ・リーグ5球団で最も負け越した因縁の相手。奥川をクジで争った相手でもある。ヨーイドンで苦手な阪神を叩くことができれば、波に乗ることができるかもしれない。
過去、高卒新人で開幕投手を任されたのはプロ野球界で3人だけ。実現すれば、1956年の牧野伸(東映)以来64年ぶりとなる。「平成の怪物」といわれた松坂でさえ指名されなかった名誉あるマウンドになるが、今から開幕投手なんて声が出るようじゃ、奥川は大変だ。