目指すのはマークされてもスピードで相手をぶち抜ける選手
前田大然(22歳・ポルトガル1部マリティモFW)
ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)の故郷として知られるマディラ諸島。首都リスボンから空路2時間のリゾート地で、東京五輪出場を目指す快足FW前田大然(マリティモ)が躍動している。当初3カ月間は、家族も通訳もサポートスタッフも不在の中で孤軍奮闘。新天地で公式戦10試合出場3得点と気を吐いている。同リーグ所属の中島翔哉(ポルトMF)以上の輝きを放っている22歳の現状に迫った。
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「日本人がいないリーグに行きたい」と熱望した前田にマリティモからオファーが届いたのは7月半ば。6月に長女・爽世(そよ)ちゃんが誕生したばかりで「正直、迷った」と言うが、J2松本山雅から1年間のレンタル移籍を決断。オファーの1週間後には、単身でマリティモに赴いた。
最初はホテルから練習場に通った。ポルトガル語を話せず、サントス監督の指示も理解できない。仲良くなったブラジル人FWに手助けしてもらいつつ、必死に食らいつくのが精一杯だった。
「『前後左右』とか『何タッチ』とかサッカーで使う言葉って決まってくるじゃないですか。それを家に帰って調べて、次の日はほんの少し聞き取れるようになる。その繰り返しでした」
練習場も粘土質のピッチで雑草が生い茂っている状況。クラブハウスも設備が整っていないかった。
「体のケアは、家でストレッチポールをするくらい。筋トレルームも普段カギがかかっているんで、空いている時にこそっとやるくらい(苦笑)。10月中旬に家族が来るまでは食事も外食でしたし、いろんなことを自分でコントロールしなきゃいけない状態でしたね」と苦笑する。