高校選手権でV逸…青森山田と帝京長岡のサッカーを思う
まず前者のサッカーは、守備から攻撃への切り替えが実に速く、カウンター攻撃は圧巻だった。それを可能にしていたのが、速くて強いパスを正確に遠くまで蹴る<キック力>である。この速くて強いパスだが、日本代表クラスの選手でも、なかなか蹴ることができないのが現状である。ハリルホジッチ元監督時代のことだ。
日本と対戦相手のオーストラリアを比較するとパス交換に明らかな差があった。公開練習取材中にオーストラリアの選手は、インサイドキックでサイドチェンジを行っていた。ボールを蹴る際には「バシッ!」という音が聞こえてくる。しかし、日本の選手のキックからは、ボールを蹴る音は聞こえてこなかった。
昔と違って育成年代から日本人選手は、天然芝は言うまでもないが、人工芝など恵まれた環境でプレーしている。それはそれで良いことではあるが、どうしても足先だけの<軽い>キックになっていないだろうか。
2021年1月上旬に開催されたJFAのフットボールカンファレンスでは、ロシアW杯のベルギー戦などの分析結果として「後半60分を過ぎると日本の選手はフィジカルの強度(インテンシティ)やデュエルで欧州勢と差が出る」ことが報告された。同じように「日本選手のキックスピードは欧州勢と比べるとまだまだ遅い」という点で田嶋JFA会長と意見が一致したこともある。