渋野と5大メジャー制覇目指す 競争激化する新コーチの座
すでに売り込み合戦が始まっているかもしれない。
今年の初戦「ダイキンオーキッドレディス」を13位タイで終えた渋野日向子(22)。今週は明治安田生命レディス・ヨコハマタイヤ(高知・土佐CC=6228ヤード・パー72)に出場する。
渋野は初戦の1日目終了後、2019年全英女子オープン優勝に導いてくれた青木翔コーチとの師弟関係解消を明かし、スイング改造にも言及。自分の肩よりも手が上がらないように、トップの位置を低めにし、「縦振りではなく、横振りにすることで左へのミスが消える」と言った。
この発言を聞いたあるツアー関係者は「成長の証しですよ」と言って、こう続ける。
「どんな競技もそうですが、女子選手は指導者に対する依存性が強い。女子プロも例外ではなく、それまでのコーチと離れるのは依存関係が破綻するケースが多い。例えば、自分の中に新しい発見があり、コーチがしっかり応えることができないときもそうです。特定のコーチがいない渋野のスイング改造はシャローイングというものです。低いトップ(写真①)から直線的にインパクトへ向かうのではなく、切り返しでヘッドがやや下がり(写真②)、スイングプレーンが鈍角になる。ヘッドが浅い角度でボールに向かい、フェース面が安定。ヘッドスピードも加速して飛距離も伸びるという、近年米ツアーで大流行しているスイング論です。昨年の欧米遠征で海外プロのスイングを見てきた渋野は、オフに何度か一緒に練習した石川遼の助言などもあってこのシャローイングを取り入れたのでしょう」
だが、現役の石川は女子プロの指導をしている場合ではない。目標にしていた東京五輪出場は厳しいが、米ツアー復帰を目指し、自身のレベルを上げなければならない。渋野にしても「ニュースイング」を自分のものにするには、新しいコーチを探すべきだろう。
■名刺の束?
渋野は19年の全英女子で日本人では2人目、42年ぶりにメジャー優勝を成し遂げ、昨年は全米女子オープンでも最終日は単独首位から発進し、優勝を争った。5大メジャー制覇を狙う渋野は22歳。まだまだノビシロがあり、国内の若手女子プロの中でも能力はピカイチ。指導したいというコーチは山ほどいるはずだ。
大会前の練習ラウンドでは、ツアーコーチが差し出す名刺が束になっているのではないか。