ビーチW杯GL3戦目はロシアに大敗…大黒柱・茂怜羅オズのリベンジに期待
ロシア・モスクワで開催中のFIFAビーチサッカーW杯2021で日本代表が、グループリーグ3戦目にして初黒星を喫した。ホスト国のロシアと対戦して1-7の大差負けをしてしまったのだ。
GL2連勝で決勝トーナメント進出を決めている日本。対するロシアは「負けるとGL敗退」「2点差以上の勝利でGL1位通過」。日本の選手たちは「強敵ロシアを倒してGL1位として決勝トーナメントに挑む」で意思統一が図れていた。
しかし、ロシアの方が勝利への執着心が上回っているとしたら、先制点はロシアがモノにするだろうーーというのは予想される範疇だった。しかし、先制点の<決まり方>というのは、両チームにとってまったくの想定外だったはず。
第1ピリオドが始まって9秒。相手シュートが監督兼選手兼主将の大黒柱FP茂怜羅オズの左ヒザに当たって角度が変わり、日本ゴールに吸い込まれていった。
スタンドを埋めた地元ファンは「ロシア! ロシア!」の大声援。新型コロナ禍でのスポーツイベントとは思えないような興奮ぶりだった。
ロシアは同4分、右からのスローインをFPパポロトニが、ピッチ中央付近から左足でダイレクトボレー。これが日本ゴール左上にズドンと決まった。さらに同8分の失点シーンはショッキングだった。
日本エリア右でロシアFPゼムスコフがオーバーヘッドシュートの態勢に入った。マークに付いていたオズは、タイミングを合わせて<背中を向けてジャンプしてシュートを的確に跳ね返す>と誰もが思った。
ところが、オズは肩をすくめながら体を半身によじり、そのままの状態でボールを見送ることしかできなかった。
ビーチならではのアンラッキーな失点
0-3で迎えた第2ピリオド。何とか巻き返したい日本だが、ビーチならではの<アンラッキーな失点>に見舞われた。
ロシアGKが、自ゴールの前からロングシュート。ボールがGK河合雄介の手前で大きくバウンドし、ループシュートのような軌道で日本ゴールのネットを揺らした。
日本は第2ピリオド半ば以降、ストライカー2人を同時にピッチに送り込む<ピヴォ(FW)2枚出し>に活路を見出そうとするが、第3ピリオドの開始4秒、同3分に連続失点するなど劣勢ムードを払しょくできない。
同8分にFP赤熊卓弥が見事なオーバーヘッドシュートを決めて一矢を報いた後も勝負を捨てることなく、積極的にロシアゴールに向かって言ったが、得点は1点止まり。
唯一の得点者・赤熊や同じピヴォで1戦目ハットトリックの山内悠誠がPKを失敗したり、シュートが相手GKの正面を突いたり、敗因のひとつに「ロシアほどのラッキーに恵まれなかった」ことも事実である。
ロシアは用意周到だった
しかしながら「今回の完敗をラッキー、アンラッキーで片づけてはいけない」と元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏がこう続ける。
「ロシアは実に用意周到でした。日本の戦力、戦い方をしっかりスカウティングしてきました。まずは強烈なプレスを掛けることでアラ(MF)とピヴォ(FW)との距離を広げ、好連係を取れなくしました。日本はボールを繋ぎながらシュートに持ち込んだり、カウンターを仕掛けて一気に相手ゴール前に迫ることが難しくなり、遅攻しか選択肢がなくなった。GK河合が何度がシュートする場面もあったが、ボールの出しどころがないので<シュートするしかなかった>局面も多く、シュートそのものもゴールの枠を捉えられず、ロシアに脅威を与えることが出来なかった」
「ロシアはスローインからダイレクトボレーでシュートを打ったり、キックオフからボールを左右に散らしてシュートに持ち込むなど攻撃パターンも豊富だった。日本対策をしっかりと講じた結果であり、ラッキーで片付けてはいけません。日本は<ロシアが攻守ともに手の内をさらけ出した><決勝や3位決定戦で対戦することになったら絶対にリベンジしてやる>と気持ちをスパッと切り替え、準決勝を勝ち抜くために良い準備をしてもらいたい」
日本時間27日午前2時キックオフの準々決勝で対戦するタヒチとの相性は悪くない。GL初戦と2戦目の「先制されても戦う姿勢を崩さず、終盤に逆転して勝ち切る」強さを見せつけ、決勝まで勝ち上がって欲しい。
その力は、十二分に備わっているはずである。