エンゼルス大谷は残り試合で「本塁打王」狙い専念がベター このままでは“あぶはち取らず”に
二刀流が投打とも足踏みを続けている。
日本時間20日のアスレチックス戦は登板時にも打席に立つ「リアル二刀流」で出場し、投げては8回を2被弾を含む5安打2失点、10奪三振、打っては2打数無安打2四球。打者大谷が投手大谷を援護できなかったこともあり、10勝目(2敗)を手にできず、1918年のベーブ・ルース以来103年ぶりの「2ケタ勝利と2ケタ本塁打」達成はお預け。本塁打王争いでも、ブルージェイズ・ゲレロ(46本)、ロイヤルズ・ぺレス(46本)への追撃はならなかった。これで大谷は今月4日のレンジャーズ戦で9勝目を挙げてから2戦連続で白星から遠ざかり、同11日のアストロズ戦で44号を放って以降8試合、一発が出ていない。
ライバルとの差が縮まらない本塁打王に関して大谷は「もちろん取りたい気持ちはある。まずはいい打席を増やしたい」としたが、この日は2点を追う六回の第3打席でセーフティーバント(結果は投ゴロ)。チームはここまで無得点という状況からして仕方がないとはいえ、自身の勝ち星に直結することもあってか、本塁打を捨ててチームバッティングに徹したのだ。二刀流であるがゆえに自ら首を絞めているといっても過言ではない。
今季のエ軍はトラウト、レンドンの強打者2人が故障で離脱したため、相手バッテリーによる大谷へのマークが集中。得点圏に走者がいて一塁が空いている際には、歩かされるケースが目立ち、13敬遠はリーグトップ。ゲレロ(7個)、ぺレス(4個)と比べてもダントツの多さだ。今季残り13試合のうち、アストロズと4試合、マリナーズとは6試合が組まれている。いずれもポストシーズン進出がかかるため、大谷との勝負を極力、避けるのは必至。まともに勝負してもらえないだけに、逆転でタイトルを獲得するには1打席もおろそかにできないのだ。
「残りの対戦カードから占えば、大谷は分が悪い。ゲレロのブ軍はオリオールズ(237本)、ツインズ(226本)とチーム被本塁打がリーグワースト1、2位のチームと対戦し、ぺレスのロ軍はツインズの他、インディアンス(202本=同4位)、タイガース(188本=同6位)と投手力の弱いチームが相手です。対戦相手に恵まれているライバルとは異なり、大谷が本塁打量産を期待できるのは最下位に低迷するレンジャーズ戦だけです。大谷は残り12試合、チーム打撃など考えずに、全打席で本塁打を狙うべきだと思います。ライバル2人を逆転するには1打席たりとも無駄にできないのは言うまでもありません」(スポーツライター・友成那智氏)
「2ケタ勝利と2ケタ本塁打」と「本塁打王」
大谷は本塁打王とともにルース以来の偉業達成がかかっている。ニグロ・リーグを除けば、1世紀以上にわたって成し遂げられなかった同一シーズンでの「2ケタ勝利と2ケタ本塁打」の快挙に注目が集まっているのだ。
周囲の期待もあってか、大谷は「ローテを守るのもそうですし、試合に多く出るのも4年間で初めてなので、最後まで健康で出続けて終わるのが一番だと思っています。最後まで投げて打ってやり切りたい」と言い切った。
「日本のスポーツメディアは連日、大きく取り上げていますが、米国では『2ケタ勝利、2ケタ本塁打』など意味がないものと認識されています。大谷は現状、勝ち星こそ10勝に届いていないものの、その働きぶりはすでにルースに匹敵すると評価されているからです。今季終了まで二刀流を貫きたい大谷の気持ちは理解できますが、本塁打王を狙えるチャンスはめったにありません。故障さえなければ大谷の実力なら今後も『10勝、10本塁打』を狙うチャンスは十分にある。今季に限れば、2ケタ勝利と本塁打王の二兎を追うよりも、投手はシャットダウンして打者に専念した方が得策だと思う。この日がそうだったように、勝ち星は味方の援護が必要だし、運、不運に左右される。すでに疲労がピークに達しているのは明らかなので、このまま投打での出場を続ければ、あぶはち取らずということにもなりかねません」(前出の友成氏)
ルースよりも先にゲレロらと肩を並べるのを優先した方が良さそうだ。