中東初のサッカーW杯開催 “不思議なスポーツ新興国”カタールってどんな国?専門家に聞いた
日本とカタールの関係は今後も続いていく
【Q】カタール人ってどんな気質なの?
【A】一概に言い切れませんが、世界的な社会心理学者のホフステード氏の「長期志向性(物事に対する結果を気長に待つ度合い)」についての研究が興味深いデータを示しています。例えば会社を設立し、最初の数年は赤字だとします。日本人は高い長期志向性を持つとされていて、そんな状況でも我慢ができる。一方、世界でも群を抜いてこれが低いとされる中東地域の人たちは、すぐに結果を求めたがるそうです。先祖代々、農耕できない土地で狩猟生活してきたのも、気質の一因かもしれません。
しかし、同時に彼らは「インシャーラ(神のおぼしめしのままに)」「ボクラ(明日)」「マレーシュ(気にするな)」といった言葉を多用します。英字にしたそれぞれの頭文字を取って「アラブのIBM」と呼ばれていますが……仕事を頼んでも、確実性がありません(笑)。せっかちなのか、おっとりしているのか分かりませんね。
【Q】日本との関係は?
【A】日本はカタールから資源をたくさん輸入しています。2020年のデータは、資源輸入量のうち原油は8.3%(4位)、天然ガスは11.9%(3位)をカタールから仕入れています。特に天然ガスに関しては90年代にカタールの天然ガスプラント事業に日本企業が参入して以降、密接な関係を築いてきた。しかし東京電力FPと中部電力の合弁会社JERAは天然ガスの長期契約を21年限りで終了させました。これにカタール側から若干の反発があったようですが、9月の安倍元首相の国葬にはタミム首長が参列した。両国の関係は今後も続いていくと思われます。
【Q】カタール人と結婚できるの?
【A】日本人の女性が嫁ぐケースはまれにありますが、逆は聞きません。カタールに自由恋愛の文化はほとんどなく、大半は親族の決めたお見合いで結婚するし、幼少期から許嫁がいる場合も多い。そもそもイスラム教徒同士でしか結婚できないので、入信が必須です。
(聞き手=杉田帆崇/日刊ゲンダイ)
■カタール
人口:約288万人
面積:1万1427平方キロ。秋田県よりやや狭く、国土の大半が砂漠や砂地
気候:年間平均気温は約27度。雨がほとんど降らず、毎年、首長が雨乞いの儀式をする
首都:ドーハ
言語:アラビア語
宗教:イスラム教
GDP:約1692億ドル(2021年)
在留邦人数:701人(2020年10月)
歴史:1916年に英国の保護下に入るが、71年に独立。以降、人口は増加傾向にある
その他:酒を飲まない代わりに甘い菓子を好むため、肥満が国民病