大谷翔平の機動力は“諸刃の剣”…今季9盗塁もトラウトの前で動くのはむしろマイナス
得点機に4三振
大谷が持ち前の機動力を生かして次の塁を陥れれば、好機は拡大する。しかし、大谷、トラウトの打順の並びで大谷の盗塁が得点に結びついたケースはほとんどない。リアル二刀流1年目の21年の序盤こそ、大谷の盗塁後にトラウトが2本塁打を放っているが、好機を生かしたのはこれだけ。同年の中盤以降は打順が同じ並びで大谷は5盗塁しながら、主砲は5タコ4三振に終わっている。
トラウトはこれまで自身の打席で走者が動くことに関して不満を漏らしたり、首脳陣に注文を付けたりしたことはない。あくまでもチームの勝利を優先しているからだが、結果が出ていない以上、打撃に集中できていない可能性は否定できない。
大谷自身にしても、積極的な走塁が空回りするのは珍しくなく、21年にはボーンヘッドをやらかした。5月のレッドソックス戦の初回、無死一塁から左前打を放ちながら、一塁走者が二塁上にとどまっていることに気付かず、二塁進塁を狙って挟殺プレーでアウト。日頃は大谷への賛辞を惜しまなかったジョー・マドン監督(当時)も「無理をし過ぎた。自動車事故みたいなものだが、(追突事故は)後ろの車に責任があるものだ」と苦言を呈した。
フィル・ネビン監督は大谷とトラウトの打順について「メジャーを代表する強打者2人のどちらが2番でもいいと思っている。どちらでも打線に勢いが出てチームにとってプラス」と、相手投手などに応じて使い分ける方針。今後も2番大谷、3番トラウトの並びは少なくなさそうだが、主砲の長打力を生かすためにも大谷は盗塁を控えた方がいいかもしれない。
その大谷は日本時間9日のカブス戦に「2番・DH」で出場し、5打数1安打1三振。二回、相手の先発左腕スマイリーから中前打を放って5戦連続安打とした。
カブス・鈴木誠也(28)は「4番・右翼」で出場し、4打数3安打。6月に入って初めてマルチを記録した。
エ軍は1点を追う二回、8日に昇格したアデル外野手の今季1号ソロなどで逆転。六回2死一、二塁から大谷の打席での重盗が相手の失策を誘って1点を追加した。先発左腕デトマースが5回3分の2を5安打1失点で、11試合目のマウンドで初勝利(5敗)。
チームはカブス相手にスイープで4連勝とした。