今さら聞けない「スイーパー」って何? エンゼルス大谷翔平が繰り出す“魔球”を徹底解剖
3月のWBC決勝で、侍ジャパンの大谷翔平が米国のマイク・トラウト(ともにエンゼルス)から三振を奪い、一気に市民権を得た。まるで漫画かアニメのように大きく曲がったあの変化球が、今話題の「スイーパー」である。
現在5勝1敗の大谷を支える伝家の宝刀となっている。連日ワイドショーなどでも取り上げられる魔球。今さら聞けない「スイーパー」を掘り下げた。
■曲がり幅56センチの試合も
ホームベース上を端から端まで一掃きするように大きく曲がる。直訳すると「ホウキで掃く」という意味。米国で「全勝」などにも使われる「スイープ」が語源だ。大谷はMVPを受賞した2021年中盤から使い始めたとされ、「軸の一つ」と話している。メジャーリーグ全体では昨季頃から定着した。
中でも大谷のスイーパーは曲がり幅が大きい。WBC決勝でトラウトを空振り三振に仕留めたスイーパーの曲がり幅は約48センチ。今季登板した公式戦では最大約56センチの日もあった。
NHK-BS1のメジャーリーグ解説でお馴染みの武田一浩氏(野球評論家)がこう説明する。
「昨季から多くの投手が使い始め、メジャーでトレンドになっているスイーパーは、スライダーより曲がりが大きく、沈まないのが特徴として挙げられます。曲がりに関しては、ブーメランのような軌道を思い浮かべればイメージしやすいでしょう。カーブとスライダーの中間の球種に位置付けられます。私の現役の頃は当然、なかった球種です。巨人の斎藤雅樹さん(野球評論家)のスライダーが今のスイーパーに近かったと思います。斎藤さんほどではないにしろ、私もサイド気味に投げた時はスライダーの曲がりが大きくなったのを覚えています」