移籍出遅れのラツィオ鎌田大地は「やりたかった」ポジションで荒波を乗り越える
鎌田大地(ラツィオ/MF/27歳)
「2チームに絞っていたんで、どちらかには行けるだろうなと思っていた。それが両方難しくなった時は一番大変だった。とりあえず今は決まってよかったです」
今夏の欧州移籍市場の目玉と言われながら、8月初旬まで新天地探しがズレこんだ鎌田大地(ラツィオ)。9月19日にCLのアトレチコ・マドリード戦に先発。新天地イタリアでの本格的な挑戦が始まった。
「来季(の移籍先)は代表ウイークが終わればもう決まるだろうし、そこに行けば新しい競争があったりして大変だと思う。しっかりいい準備をしていきたいですね」
日本代表6月シリーズのエルサルバドル(豊田)、ペルー(吹田)との2連戦の際、自身の去就についてこう語った鎌田。この時点では先行きを楽観視している様子だった。
昨季限りでフランクフルトとの契約を満了し、移籍金なしで新天地へ赴ける立場の彼には、数々のビッグクラブから熱視線が注がれた。その中で本人は「CL常連クラブ」にターゲットに絞り、ACミラン入りが確実だと見られていた。
ところが、6月初旬にパオロ・マルディーニTDら強化部首脳が解任され、ミラン側の方向性が一変。移籍話が暗礁に乗り上げた。第一希望を失った鎌田は次なる候補に切り替えたようだが、それもまとまらず、本当に苦しい時期を過ごした。
結局、ラツィオに落ち着いたのは8月4日。セリエA開幕まで2週間というタイミングで新天地適応が課題だと目された。
鎌田の実力を懐疑的に見るメディアもいる中、彼は9月2日のナポリ戦で強烈な左足ゴールをお見舞い。点の取れるインサイドハーフ(IH)であることを強烈に印象づけた。
「ブランクが長かったので難しくなるだろうと思っていて、実際に簡単じゃなかったし、チームも難しい時期を過ごしていた。そういう中、自分自身も強い覚悟でナポリ戦に挑んだ。結果がほしいと思っていたので、本当によかった」と9月の代表活動に合流した鎌田は安堵感を吐露していた。