著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

上田綺世はオランダの新天地で「フェイエの上田」と呼ばれるようになってほしい

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上田綺世(フェイエノールト・FW・25歳)

「ウエダは天性のゴールスコアラー。足にボールが転がるたびに得点を奪う。その確率は50%以上、100%に近いかもしれない。彼はとても速く、ヘディングも両足のシュートもうまく、ゴールを確実に決める。我々にとって力強い新戦力だ」

 今夏赴いた新天地のアルネ・スロット監督が絶賛する上田綺世

 9月12日のドイツ代表戦(@ボルフスブルク)の後、負傷してチームを離脱していたが、24日のアヤックス戦でベンチに復帰。本領発揮も近そうだ。

「カタールW杯から半年以上経って、積み重ねてきたものもあるし、自分の中でも成長した部分って多くあると思う。点を取る感覚もそうだし、チームが変わって強度やプレースタイルも進化できているんで、当時とは違う感覚、違う心境でプレーできると思います」

 9月に日本代表に合流した上田綺世は、見違えるほどの自信と余裕を感じさせていた。

 もっとも、2022年秋のカタールW杯では一次リーグ2戦目のコスタリカ戦に先発しただけ。しかも前半45分で交代という憂き目に遭った。

「カタールW杯で世界基準が分かったというよりは、薫(三笘=ブライトン)君とか律(堂安=フライブルク)のように(欧州)5大リーグのトップトップでやっている選手は、あれだけの大舞台でも違いを出せる。そこに差を感じた。コスタリカ戦で何もできなかった僕がドイツ戦やスペイン戦に出ていたら一体、何ができたのかという疑問もある」と悔しさを吐露していた。

 しかしながら、日本代表の森保一監督が点取り屋としての特別な才能を見抜き、法政大学時代から日本代表に呼んできた逸材は、そこで終わらなかった。

 欧州初挑戦だった昨季セルクル・ブルージュで22ゴールを奪い、1年で欧州CL本戦出場クラブのフェイエノールトへ飛躍した。スロット監督が「現FWの主軸・ヒメネスのビッグライバルになる」と断言するのだから、期待の大きさが窺える。

 実際、ドイツ戦でも目覚ましい成長をピッチで示した。前半21分の2点目はもちろんのこと、森保監督から課題とされていたボールを収め、前線の起点となるプレーも十分にできていたのだ。

「収める役割を求められていましたし、100%は難しいけど、50~60%できればチームの保持率ももっと上がる。相手の嫌な動き出しや受け方をもっとできるようになれば代表のサッカーのオプションも広がると思います」と本人も手ごたえを口にしていた。

 この一戦で上田が代表1トップの軸に躍り出たという見方も強まった。大迫勇也(神戸)が代表から外れて以降、なかなかいなかったターゲットマンタイプのメドがついたのである。

 その地位を確実にするためにも新天地で目覚ましい活躍を見せたいところ。

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