2021年からルール制定 プロの距離計測器使用はゴルフの本質を否定するか
「これじゃあ、おれたちと変わらないじゃないか」
国内ツアーを観戦しているギャラリーや視聴者からこんな声をよく聞く。男女プロが「距離計測器」を使ってプレーする姿を見てのものだ。
これは世界的な潮流で、全英、全米ゴルフ協会が2021年5月から、大会独自の判断で「距離計測器」の使用を認める特別ルールを制定。日本もそれに準じて許可した経緯がある。
厳密にいえば、距離全般の測定はOKだが高低差の測定は「NO」という新ルールの背景には「スロープレー防止」があるのだが、これはゴルフという競技の本質を否定するものではないか。
■設計家の苦労は水の泡
ゴルフコースの設計家は、樹木やマウンド、バンカー、打ち上げ、打ち下ろしの高低差などでプレーヤーの目を惑わせ、コース攻略を考えさせる。
例えば、ガードバンカーなどのハザードからグリーンまで、距離があれば実際の距離より短く見える。逆に、ピンまで150ヤードだとしても、グリーン奥の樹木が低かったり、逆光のときは実際の距離以上に見える。「罠」ではないが、打つ方向やグリーンの位置が見えないブラインドホールでは想像力が要求される。