2021年からルール制定 プロの距離計測器使用はゴルフの本質を否定するか
ところが、距離計測器を使えば、景観を利用した「カムフラージュ」や人間の五感をだます「罠」は意味をなさない。プレーヤーは風さえなければ計測器の距離通りにクラブを振るだけでいい。
「アリソンバンカー」の名で知られる英国人設計家チャールズ・ヒュー・アリソンの影響を強く受けた名匠井上誠一の手がけたコースは「霞ケ関カンツリー倶楽部・西コース」「大洗ゴルフ倶楽部」「日光カンツリー倶楽部」など、松の木を生かしたものが多い。
井上はプレーヤーを意図的に惑わせるような設計はしなかったそうだが、地形や景観が距離の錯覚を引き起こす要因になっていることは否定しなかった。
計測器に頼らず、従来通り帯同キャディーの歩測のみでプレーしている者や、イメージや感性を重視して計測器を使わない選手もいる。ハイテク時代とはいえ、機器に頼っていてはプロならではの研ぎ澄まされた感覚は鈍麻する一方だ。
タイガー・ウッズは崖っぷちのようなピンチからバーディーやイーグルを取ってファンを沸かせた。全盛時代のジャンボ尾崎もそうだったし、青木功は動物的な感覚で、マジックのような技を見せた。これらが距離計測器の力を借りたスーパーショットだとしたらどうだろう。
ハイテク機器でゴルフを楽しむのはアベレージゴルファーだけで十分だ。