大谷翔平の移籍先最終候補は5球団…そして金満球団(メッツ、Rソックス、レンジャーズ)が消えた理由
「二刀流」希望でチーム内に歪みが
本人は8月以降、公の場で話をしていない。移籍交渉に関してガードの堅い大谷サイドから、唯一、出てきたヒントが代理人のネズ・バレロ氏の発言ではないか。大谷が手術する以前の会見でこう言っている。
「彼は投げることが大好き。二刀流を長く続けることが重要なんだ。ここ数年のように(投打)両方続けていくことは疑いようがない」
ポイントは「ここ数年のように」という点。たまに投げたり、たまに打ったりではない。ここ数年の大谷は原則、登板時も打席に立つリアル二刀流だった。調整だけでなく、実戦でも自分の思い通りに投げて打った。エンゼルスではそれが可能だった。
「だからこそ大谷が加入して以降は6年連続負け越しで一度もプレーオフに出ていないエンゼルスがいまも候補から外れないのですよ」と、米コラムニストのビリー・デービス氏がこう続ける。
「大谷は最近のような二刀流を希望しているわけで、そうなると自然とチーム内に歪みが生じる。それは特に先発ローテーションに顕著で、中5日の登板間隔を維持しようと思えば、中4日が当たり前のエース級にしわ寄せがいく。つまり大谷を獲得しようと思ったら、彼を中心としたチームづくりを余儀なくされる。メッツ、レンジャーズ、レッドソックスは実際問題として、それが出来ないということですよ」
■6年前と似た図式
思えば6年前、大谷がポスティングシステムでメジャー挑戦する際に最も重視したのは、米国ではベーブ・ルース以来となる二刀流を貫くことだった。いまや二刀流は全米に認知され、2度のMVPに加え、本塁打王のタイトルも獲得した。史上最高額が見込まれる今回もまた、程度の違いはあれど「これまで通りの二刀流」を貫くことが大谷にとって重要なのだ。
「6年前にヤンキースをはじめとする東海岸の強豪球団を1次選考でふるいにかけたのは、ファンやメディアがシビアで選手に見切りをつけるのが早いからです。ベーブ・ルース以来の二刀流を認めてもらうためには、辛抱強く起用してもらう必要があった。二刀流選手として完全に認知された今回も、図式は似ています。大谷中心のチームとなるだけに、期待を裏切ったときは全責任が自分の肩にのしかかる。史上最高額が予想されるだけになおさらです。ニューヨークやボストンは球団もメディアもファンもシビアだし、レンジャーズのテキサスもどちらかといえば排他的な土地柄ですからね」(同)
かくして大谷のふるいにかけられなかったのが冒頭の5球団ということだ。