阿部一二三は足技進化で死角ナシ、詩は海外勢寄せつけず 狙うは五輪市場初の兄妹連覇
阿部一二三(柔道男子66キロ級/26歳)、阿部詩(柔道女子52キロ級/23歳)
五輪史上初の兄妹連覇を狙う。兄・一二三は2023年12月のグランドスラム(GS)東京で圧倒的な力を見せて優勝するなど、東京五輪以降も66キロ級で敵なし状態だ。
柔道ライターの木村秀和氏が言う。
「東京五輪以降、技術面でさらに進化している印象です。以前は右でも左でも、強引に担ぎ投げを仕掛けるなど、力に頼る部分がありましたけど、GS東京の決勝で組み際に大外刈りを決めて優勝したように、一層、足技に磨きがかかりました」
GS決勝は、世界選手権銅メダルのヨンドンペレンレイ・バスフー(モンゴル)を圧倒。開始1分10秒で一本を取った。
「試合途中、ヨンドンペレンレイは『指導1』を取られた。あれは一二三が与えた指導といっていいでしょう。腕力、握力が強いヨンドンペレンレイに対し、一二三はパワーで押すだけでなく、技を出しつつ組み手でも負けない柔道をした。審判はそんな一二三の柔道を評価したからこそ相手に指導を行ったとみています。プレッシャーをかけながら、組み際に背負い投げ、袖釣り込み腰にはいかず、大外刈りを決めた。パリに向けて死角ナシといっていいでしょう」(同)