大谷翔平に「勝ちたい」けれど「試合にも出たい」ジレンマ ド軍が大砲獲得でDH問題が深刻化
大谷が抱く2つの欲求
どれだけ選手を獲得したら気が済むのか。大型補強を続けるドジャースを見ていると、そう思いたくもなる。
大谷翔平(29)と山本由伸(25)に加えて、メジャーの先発ではストレートの平均球速が最も速いグラスノー(30)まで獲得したと思ったら、今度は長距離打者だ。日本時間8日、メジャーの公式サイトはドジャースが通算159本塁打、昨季26本塁打のテオスカー・ヘルナンデス外野手(31=マリナーズからFA)と1年2350万ドル(約34億円)で合意したと報じた。
このヘルナンデスの加入は、大谷にとって大きな問題を、さらに膨らませることになる。
昨季は出場した160試合のうち、28試合は指名打者(DH)としてのもの。右肘手術明けで今季はDHに専念するしかない大谷にとって“対岸の火事”では済まないのだ。
昨年暮れに放送されたNHKのインタビューで改めて浮き彫りになったのは、大谷の勝ちたい、試合に出続けたいという2つの欲だ。
疲労が蓄積している夏場、ネビン監督が休養を勧めても、「100%出られる」との返事だったという。大谷も「試合に出たい。まだポストシーズンの可能性があった。出られる状態だったから、休む選択肢はなかった」と話していた。
勝ちたいし、試合にも出続けたい。この2つの欲を両立させることができたのは、大谷が加入して以降、6年連続負け越しで一度もプレーオフに出られなかったエンゼルスにいたからだ。
しかし、スター選手揃いのドジャースではそうはいかない。
ドジャースが大谷を獲得したのはある程度、大谷中心のチームにシフトすることを受け入れたからだが、現実問題としてDHを大谷にひとり占めさせておくわけにはいかない。
エンゼルスでは大谷以外に計算の立つパワーヒッターはトラウト(32)ひとりだった。だからこそ大谷がほとんど全試合、DHで出場しても問題は生じなかったし、割を食う選手もいなかった。
が、ドジャースは異なる。昨季DHだったマルティネス(36)は113試合に出場しただけ。36本塁打のマンシー三塁手(33)は10試合、23本塁打のアウトマン中堅手(26)は3試合、19本塁打のスミス捕手(28)は14試合、15本塁打のテイラー遊撃手(33)は7試合、同じく15本塁打のヘイワード右翼手(34)は6試合、それぞれDHで出場。ドジャースのDHは、主力選手が交互に休養するためのポジションでもあるのだ。
そこにもってきて昨季DHとして28試合に出場したヘルナンデスが新たに加入した。