大谷翔平に「勝ちたい」けれど「試合にも出たい」ジレンマ ド軍が大砲獲得でDH問題が深刻化
外野を守ったのは7試合だけだが……
エンゼルスとは違って、大谷ひとりで彼らのパフォーマンスをカバーすることは不可能。というか大谷が「試合に出続けたい」という欲を通せば、スター軍団のパフォーマンスは低下して、チームは勝利から遠ざかることになる。
昨年暮れ、ロバーツ監督は米メディアの電話インタビューに答えてこう言っている。
「(大谷のポジションは)DHだ。『9月にボールを投げられるようなら、左翼から投げてもらえるか』という話はした。彼は『腕に問題がなければ大丈夫』と言っていた。まだまだ時間はあるし、あくまでも様子を見ながらだ」
大谷はメジャー移籍後の6年間で、外野を守ったのは7試合だけ。いずれもマドン監督が指揮を執った21年のシーズンで、なおかつ試合終盤からの外野守備だった。ロバーツ監督が大谷に手術明けで投手はムリな今季、しかもほとんど経験のない外野守備を打診したのはDHの枠を大谷以外の主力にも使いたいからでもある。
大谷はドジャースの入団会見で手術した右肘の回復具合についてこう言っている。
「打撃の方はすでに素振りを始めていて、おおむね予定通りにきている。若干、早いくらいの感じできているので、開幕には間に合うと思います。スプリングトレーニングでしっかりゲームに入れる準備ができれば開幕には間に合う感じがしますね」
開幕に間に合うと、自信満々。二刀流が売りの選手が打者に専念せざるを得ないだけに、開幕からフルスロットルでエンジンを吹かすつもりでいる。おそらく全試合DHで出場して本塁打を量産するくらいの気持ちでいるのではないか。
しかし、ここにきてさらなるスラッガーまで獲得したチーム事情がそれを許さないだろうし、仮に大谷がDHを独占するような事態になれば他の主力の休養の場がなくなり、11年連続でプレーオフに進出しているチームに黄信号がともりかねない。大谷は今季、「勝ちたい」けれど「試合にも出続けたい」というジレンマに悩むことになりそうだ。