国内男子プロ「日本一」の価値ガタ落ち…日本人選手の目はとっくに海外を向いている
【日本プロゴルフ選手権】
かつて国内の男子プロは「日本プロと日本オープンのタイトルは絶対に欲しい」と言った。1970年代から90年代にかけては、「AON」と呼ばれた青木功(プロ3勝、オープン2勝)、尾崎将司(6勝、5勝)、中嶋常幸(3勝、4勝)の3人が、それこそ血眼になって優勝を狙い、名勝負を繰り広げて、ファンを沸かせたものだ。
しかし、近年は日本プロも日本オープンもかつてのような盛り上がりはない。それも当然で、エースの松山英樹は国内大会に出場するのはスポンサー絡みのときだけ。久常涼、星野陸也、中島啓太といった実力のある選手は現在の「ホームツアー」である米・欧ツアーで戦い、今大会には参戦していない。
古株の大会関係者は、「AONの時代と今を比較しても意味がないですよ」とこう語る。
「この日、大会5人目となる初出場、初優勝を遂げた杉浦(悠太=22)は賞金3000万円と5年シードを勝ち取ったことはうれしいでしょう。でも、1打差で負けた蝉川(泰果=23)と同じく、米ツアー参戦を目標にしている。AONも欧米ツアーや海外メジャーには出場していたし、青木さんは1980年の全米オープンでニクラスと激闘を演じて2位になった。しかし、メジャーで優勝した日本選手はいなかった。今の若手は松山が米ツアーで活躍し、3年前はマスターズに勝ったシーンも見ている。日本選手のメジャー制覇は非現実的な夢ではなくなった。日本一の称号に強いこだわりがあるようでは世界で戦えませんよ」