元関脇・豊ノ島さんタレント転身も“稽古不足”痛感の日々「素のほうが面白いねって言われる」
常に3年後に自分がどうありたいかを考える
タレントに転身して約1年半が経過。その間、さまざまなテレビ番組やイベントに出演するなど、持ち前の明るさを発揮して、活躍の場を広げているが、本人いわく“稽古不足”を痛感する毎日だという。
「この間も『テレビよりも素のほうが面白いね』って言われました(苦笑)。カメラを前にすると、ついつい気負いもあって硬くなってしまって、動作や発言が不自然になることが多々あります。頭の中では、こうしよう、ああしようと、あれこれ想定しているんですけど、瞬時に思っていたようなリアクションができないこともあります。テレビ慣れしている芸人さんは、そのへんの反射神経は本当にすごいですよね。自分ももっと自然体でしゃべることができたらなと。それを心がけているというか、目指しています」
3年先の稽古──。これは豊ノ島さんが現役時代から座右の銘にしている言葉だ。
「6歳のときに相撲を始めて、当時の指導者から『3年先の稽古だぞ』って言われて、そのときは意味も分からないまま、ただ『はい』と答えていたんですよ(笑)。でも、大人になるにつれて、だんだんと分かってきたのが、目先の勝ち星のための稽古ではなくて、常に3年後に自分がどうありたいかを考えて、相撲に取り組むべきだと。そのような長期的な視野に立つことで、力士として、人間として大きく成長できるということを実感しました。これは、タレント活動を継続するうえでも大事な教訓だと思っています」
そんな豊ノ島さんにタレントとしての今後の目標やチャレンジしてみたいことについて聞いた。
「懇意にしているスポーツ新聞の記者さんと一緒に『豊ノ島の部屋』というトークイベントを定期的に開催しているんです。元力士が相撲の魅力や奥深さについて解説するテレビ番組やYouTubeって、ほとんどないと思うので、今後、自分が相撲の面白さを発信する番組をつくれたらと思っています。また、娘から『大柄のおじさんがキレキレのダンスをしていたら面白い』って言われて、TikTokをやろうという話もあがっています。ただ、そのへんは昭和生まれには、まったく分かりません(苦笑)。だから、娘にもアドバイスをもらいながら、親子でもいろいろ発信できたら面白いかなって」
(取材・文=大崎量平)