低反発バットの導入でこれからさらに高校野球が変わる。「必要な選手」と「有効な作戦」とは
無死一、二塁から始まるタイブレークの際に重要になるのが送りバントだが、本塁打が出ないなら、セーフティーも有効である。
まずは三塁線ギリギリを狙ってみる。ファウルになってもいい。相手に三塁側へやってくると警戒させた上で、次は投手、一塁手、二塁手の間に転がす。特に左打者なら成功する確率は高い。
投手ではいい左腕が目立った。
京都国際の2枚看板、特にエースの中崎琉生は腕が遅れて出てくるから打ちにくい。関東第一、4強の神村学園(鹿児島)、8強でも東海大相模、智弁学園(奈良)、大社(島根)のエースクラスが左腕だった。左打者だろうが右打者だろうが、臆せず内角に140キロ級の直球を投げ込めれば、飛ばないバットならほぼ詰まる。仮に甘く入っても怖くない。さらに右打者の外角に直球、スライダー、チェンジアップの3球種を使い分ける投手が勝ち上がった。絶対数が少ない左投手に対する練習量が足りないため、好左腕の攻略は難しいのだ。
石橋(栃木)の監督が「飛ばす才能では強豪私立の子に負けていても、このバットで低く強い打球を練習で徹底できれば、公立にとって有利になりうる」とコメントしていた。まさにその通りで、センターから逆方向へ低く強く打つことを徹底した大社などの公立校が旋風を起こした。