成田美寿々へ前代未聞の助言「グリーンに乗せるな」の根拠はピンポジション…足で稼いだ情報が報われた
僕は毎朝スタート前に18ホールを歩き、ピン位置を確認します。今はグリーンに乗ることはできませんから、手前や両サイドから傾斜を入念に調べます。
2015年サントリーレディス(兵庫・六甲国際GC)最終日の朝、17番(パー5)のグリーンに行くとまだコースセッティングの担当者がいました。右手前のカップ位置を想定してボールを転がしています。傾斜がきついところですから「ここはないだろう」と思っていたら、その厳しい位置にカップを切ったのです。17番は2オンでイーグルも狙えるホールですが、このピン位置では上と横につけてしまうと、それを入れない限りおそらく2メートル以上はオーバーしますから、チャンスホールとは言えません。
首位の(成田)美寿々ちゃんと、2打差を追うイ・ボミのティーショットはフェアウエー。ボミは第2打を左ラフに入れ、美寿々ちゃんは2オンを狙いましたがグリーン右手前のラフです。ボミの3打目はピン左横4メートルへ。
美寿々ちゃんは20ヤードのアプローチですが、僕はグリーンエッジに先回りし「グリーンに乗せるな」と言って、グリーンセンター手前のカラーを指さし「ここに置けるか?」と聞きました。ピンを狙っていた美寿々ちゃんは「え!? そこですか」と驚いたのは当然です。優勝争いをしていなければそんなことは言いませんし、後にも先にも選手に「グリーンに乗せないで」と指示したのはこの時だけです。美寿々ちゃんは僕を信じ、第3打は指示通りグリーン手前のカラーに置いたのです。この正確なアプローチもすごかったなぁ。