オリンピックを題材とした「独走」を上梓 堂場瞬一氏に聞く
物語の中では、世界的なIT企業が、オリンピックに対抗する別の総合スポーツ大会“UG”を計画していることが明らかになる。スポーツの理想を追求すべく、一切の商業主義を排除するとうたうUGでは、参加選手を3カ月前から会場に集め、外部との接触を遮断。全員が同じ環境でトレーニングすることで、完全に公平な競技を実現するというのだ。
「もはや、スポーツと金は切っても切れない関係となっています。しかし、スポーツの本質とは何かということを見失うような事態は避けたいものです。2020年に向けて、日本のスポーツ熱はどんどん高まっていくはずです。だからこそ、このタイミングでスポーツについてじっくりと考えてみたい。日本のスポーツ行政が暴走しないよう、見守ることも必要かもしれませんね」
▽どうば・しゅんいち 1963年茨城県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年に「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞。警察小説とスポーツ小説の両ジャンルで多数の作品を発表している。近著に「警視庁追跡捜査係」シリーズや「Sの継承」「ヒート」「20」など。