「農協解体」山下一仁著
■農協は日本の農業を衰退させる元凶だ
JA農協グループが“禁書”に指定した「農協の大罪」(宝島社新書)から始まるシリーズの最新作。山下一仁著「農協解体」(宝島社 1200円)では、農協の成り立ちや、農業を衰退させる組織となった農協の現状、そして国民がこうむる負担などを解説していく。
終戦直後、農家の経済的・社会的地位の向上を目的として設立された農業協同組合(農協)。小作人の解放を推進し、小さくて貧しい農家が助け合いながら農業を続けるための団体だった。しかし、経済復興と高度成長を経て、その目的は達成された。1965年以降、農家の所得は勤労者世帯の収入を上回って推移するようになり、半世紀も前に農協存続の意義はなくなった。
しかし、現在の農協は子会社として営利の株式会社を多数設立し、資材の共同購入や農作物の販売など、本来農協が行うはずの事業を展開しながら利益を上げている。さらに、肥料で8割のシェアを持つなど独占事業を展開。組合員である農家に高い資材を購入させるなど、農家を搾取して健全な生産性を阻んでいる。