佐高信「この5冊で政治の危うさが見えてくる」
その安倍は祖父の岸信介を大尊敬している。戦争犯罪を問われた岸が背後霊のように安倍の後についているのであり、憲法改正等のタカ派ならぬバカ派的な政策は、すべて、おじいちゃんの汚名をそそぎたいというコケの一念からきている。「絶頂の一族」を、その絶頂から一刻も早く引きずり降ろさなければならないのである。フクシマを見捨てて、安倍は原発再稼働を強行しようとしているが、「さまよえる町」には、棄民化されているフクシマの人間の、30年後に県外に最終処分場を建設するという約束に対する痛烈な批判が載っている。
「国が責任をもつなんて言っても、国がいちばん信用できないんですよ。そもそも、国の原子力政策が間違っていたわけでしょ」
「相楽総三とその同志」は権力の非情さを描いた明治維新史の古典的名作である。
■オススメ本5冊
「天人」後藤正治著(講談社)
「戦後70年 保守のアジア観」若宮啓文著(朝日選書)
「さまよえる町」三山喬著(東海教育研究所)
「絶頂の一族」松田賢弥著(講談社