「五代友厚」織田作之助著
NHK朝の連続テレビ小説で注目が集まる実業家の人生を描いた評伝の復刻。
文久2年8月、薩摩藩士が、英国人を斬り殺すという生麦事件が発生。英国は幕府と薩摩藩に莫大な賠償金を請求してきた。幕府は応じないつもりだが、英国との交渉を命じられた小笠原図書頭は、賠償金を支払う条件として英国が品川沖に展開する軍艦を薩摩へ回航するよう申し出る。クーパー提督の妾・お露から、幕府の謀略を伝えられた薩摩藩の船奉行副役の五代才助(後の友厚)は、独断で藩船を売却して賠償金を払い英国艦隊を再び江戸に追い返す算段を取り付ける……。
維新後、大阪商法会議所を設立するなど大阪の発展に尽くした五代の後半生を鮮やかに描く。(河出書房新社 620円+税)