「隠し事」羽田圭介著
医療器具メーカーの営業マンの鈴木は、大学時代の後輩・茉莉と同棲中。ある夜、茉莉の入浴中に鈴木がメールを着信した彼女のケータイに何げなく目を向けると、サブディスプレーに渡辺健太の名前が表示され、すぐに消えた。
渡辺は鈴木の大学時代の友人で、茉莉と同じネット広告業界で働いている。茉莉は学生時代に渡辺と面識はなかったが、3年ほど前に同業者の会合で会ったとは聞いていた。問いただす機会を逸し、2人の関係に疑いが募る鈴木は、茉莉の就寝中、つい彼女のケータイを開けてしまう。しかし、渡辺からのメールは削除されており、鈴木は余計に不安になる。
疑いが疑いを呼び、止まらなくなる家庭内ストーキング小説。(河出書房新社 550円+税)