一向に打開の兆しのない「沖縄問題」の実態と真実に迫る
「沖縄の新聞は本当に『偏向』しているのか」安田浩一著
「ネットと愛国」でネトウヨに肉薄したフリージャーナリストの著者。沖縄についての認識は表面的だったという。しかし百田尚樹の「沖縄のあの2つの新聞社はつぶさなあかん」発言は見過ごせないと決意。沖縄の地元記者たちを中心に「偏向」問題を取材したルポだ。
「琉球新報」「沖縄タイムス」記者たちの背景はさまざま。学生時代、某議員と米高官が沖縄のコンビニで「思いやり予算」を笑いのタネにする姿を目撃した屈辱感から記者になったという若手も。地元で新聞批判の街宣を続ける右翼にも取材し、その寂しい身の上も明らかにする。ミクロな世界に肉薄する方法は相変わらず。(朝日新聞出版 1400円+税)