「日本史のなぞ」大澤真幸著
日本の歴史の特徴は、革命の不在だと著者は言う。大化の改新や明治維新、戦後の民主化も外部からの衝撃に対する反応として生じた社会変動で、内発的な変動と定義する革命とは言えないからだと。
歴史上、唯一革命を成し遂げたと認定できるのは、鎌倉幕府3代目執権の北条泰時だという。1221年の承久の乱で、泰時は幕府軍を率いて朝廷方を鎮圧。3年後、父の跡を継ぎ執権の座に就いた泰時は、日本社会に初めて体系的な固有法「関東御成敗式目」をもたらした。これこそが泰時を唯一革命家とする理由だという。中国の易姓革命、キリストの革命などを例に革命の構造を分析、なぜ泰時だけが日本で革命を実現することができたのかを考察する。(朝日新聞出版 720円+税)