「蝮の孫」天野純希著
永禄6(1563)年、名将とうたわれた父・義龍の跡を継ぎ、斎藤龍興が美濃の国主となって2年が経った。祖父の道三を討った父を許せない龍興は、国主の務めを果たさず、酒色にふける日々を送っていた。そんな中、尾張の信長が大軍を率いて美濃を落とすべく北上してきたが、国人の安藤守就の家臣・竹中半兵衛重治の策によって撃退に成功する。さらに重治は、守就を通じて尾張への侵攻を献策するが龍興に退けられ、守就は蟄居を命じられてしまう。翌年、龍興を愚将と見限った重治は、謀反を企て、龍興の居城・稲葉山城を奪う。揖斐城に逃れた龍興は、盗賊退治や堤の修復などに汗を流し、次第に家臣や民の信頼を得ていく。
信長を追い詰めた龍興の生涯を描く歴史長編。(幻冬舎 1600円+税)