「家訓で読む戦国」小和田哲男著
領国統治のために制定した分国法や、道徳的規範を示す家訓、家臣らに語った経験談「武辺咄」、そして遺言状など。戦国大名の言葉から、彼らの生きざまや考え方を学ぶ歴史読み物。
戦で負けて悔しい思いや苦い経験をすることが人間を大きくすると、「名将というのは、一度大敗北を喫した者をいうのだ」と語った朝倉宗滴(初代孝景の末子)や、遺言状で自らの戦歴を振り返りながら、有能な家臣たちの意見に耳を傾ける大切さを説いた扇谷上杉定正、合戦においては八分以上の勝ち方は大負けの下地をつくることになるから「六分か七分の勝ち方が一番いい」と語った武田信玄など。
現代にも通じるリーダーの心得や組織論が満載。(NHK出版 780円+税)