「家康の遠き道」岩井三四二著
駿府に隠居した家康に、南蛮人が朱印船の船員を殺したという知らせがもたらされた。交易は必要だがキリシタンは問題だ。家康は有馬修理に南蛮船を撃てと命じる。もうひとつ頭をいためているのが豊臣秀頼のことだ。他の大名のように上洛を促しても来ようとしない。大叔父にあたる織田有楽斎や北政所、加藤清正らが尽力して、なんとか承知させた。秀頼がどれほどの器量の持ち主なのか見極めようとした家康は、六尺豊かな大男、加藤清正のうしろを歩いてくる秀頼の大きさに目をみはった。
戦国時代を勝ち抜き、手中に収めた天下を維持するために「守成」に腐心する家康を描く時代小説。(光文社 1700円+税)